ふきの食べ過ぎがテーマです。
山菜といえば、タラの芽、わらび、ぜんまいなどが頭にうかびますが、一番は「ふき」ではないでしょうか。
独特の香りとほろ苦さが特徴ですよね。
シーズンになると頂いたり、たくさん食べる事が多いふきですが、ふきには毒があるって聞いたことありませんか?
実際どうなのでしょうか。
ふきの食べ過ぎについてまとめていきます。
ふきの食べ過ぎは危険!含まれる有毒成分って?
ふきに含まれる有毒成分とはなんでしょうか。
毒きのこはよく季節になると、メディアで取り上げられますがふきはあまり聞いたことがありませんね。
なぜなのでしょうか。
ふきなどの植物に含まれる自然毒「ピロリジジンアルカロイド類」
「ピロリジジンアルカロイド」 (略称:PA) は600種類以上の植物に含まれているとされる化学物質の総称です。
植物に含まれる天然の毒でキク科、ムラサキ科、マメ科等に含まれているとされています。
ふきは、キク科フキ属でペタジテニン(別名フキノトキシン)やセンキルキンなどのPA類を含んでいます。
PA類の中には、肝臓に対して毒性を持つものがあり吸収された後に、主に肝臓で代謝されるために肝障害が起こる可能性があるとされています。
農林水産省によると海外ではPA類を含む植物を使ったハーブティーやサプリメントが原因とする肝障害が報告されています。
また、ムラサキ科のコンフリー(ヒレハリソウ)やキク科のバターバー(西洋ふき)を健康食品等として、長期間摂取した場合の健康被害が、多数報告されていました。

厚生労働省は平成16年にコンフリーを含む食品の製造販売等を禁止し、平成24年にはバターバーも含む食品の販売を中止するよう指導しています。
水にとけやすいピロリジジンアルカロイド
これまで、日本ではふきの健康被害の報告は確認されていません。
それは、以下の理由が考えられます。
- PA類の種類による毒性の強さや作用機序の違い。
- 植物体の部位や採取時期、品種によるPA濃度のちがい。
- 食利用される可能性があり、PA含有が疑われる植物種の多くは山菜や野草であり、その摂取量や頻度はふきよりもさらに少ないため。
参考元:農林水産省、2014. 「野菜や山菜に含まれるピロリジジ ンアルカロイド類のリスク管理の必要性に関する考察」
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/papers_posters/pdf/108th_eisei1.pdf
そして 一番の要因は調理の時にあく抜きをすること です。
水に溶けやすい性質をもっているので、下処理をすることで、PA類を減らすことができます。

ふきのとうはあく抜きをせずに調理することがありますが、多量に食べ続けることがないので健康被害に及ばないと考えられています。
ふきの食べ過ぎによる健康障害は?
ふきの食べ過ぎは危険なのでしょうか。

たくさんの量を毎日、長期にわたって食べ続けると肝障害が起こる可能性があるとされています。
では食べれないと思われるかもしれませんが、そうではありません。
農林水産省では、多量に食べ続けることがなければ、健康被害は及ばないとされています。
ただ 食べる時にあく抜きをしっかりしないと濃度のたかいPA類を摂取することになるので注意が必要です。
ではどのくらいの量をどのくらいの期間食べると危険なのでしょうか。
残念ながら、詳細な報告がなく日本では分析調査がされたことがありません。
そのため国内の植物に含まれているPA類を分析法の開発や、含有量の調査などの体制の確立をすすめています。
参考元:フキ中のピロリジジンアルカロイド類の低減に関する調査研究
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/regulatory_science/pdf/h30_add_kadai.pdf
あく抜きをしっかりすることでPA類をへらし、たくさんの量を長い期間食べ続けることを防止すれば、健康被害には及びません。
ふきの他にはどんな自然毒があるの?
自然毒は他にどんなものがあるのでしょうか。
ふき以外にも注意が必要です。
動物性自然毒
一番有名なのはフグの毒です。猛毒のテトロドトキシンがります。他には二枚貝・巻貝などに含まれています。
植物性自然毒
よく耳にする毒きのこ類です。カエンタケ・テングタケ・ ドクササコなど19種類にものぼります。
きのこ類は姿、形がよく似ているので、メディアに取り上げられるのはそのためです。
植物性自然毒(高等植物)
ジャガイモの芽の部分や、スイセン、アジサイ、などがこれにあたります。
参考元:厚生労働省 (自然毒のリスクファイル)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/poison/index.html
ふきの簡単・あく抜き方法
ふきの下処理をキチンとすれば、水に溶けやすいピロリジジンアルカロイドを減らす事ができます。
ふきを食べる際は、必ず下処理を行うようにしましょう!

- ふきを大きめなお鍋の長さにあわせて切り、板づりをします。ふきに塩がまんべんなく行き渡るよう、まな板の上でゴロゴロと転がして塩をなじませます。塩は1束に対して山盛り1杯程度です。
- 沸騰したお湯に塩のついたままのふきを入れ、細い部分は 2~3分 、太い部分は 4~5分 を目安に茹でます。
- 茹で上がったら、細い部分から、氷水にとり太い部分が茹であがったら火をとめ、太い部分も氷水にとります。
- 完全に冷めたら、ふきの太い部分を上にして持ち、端の部分から 3~4㎝ 程度1周ぐるっと皮をむいていきます。むいた部分をまとめて手に持ち、一気に下に引きおろします。
- 剥き終えたら水のはったボールに、その都度いれていきます
- 全部剥き終えたら、お好みの大きさにカットして保存容器にいれ、冷蔵庫にいれて2時間ほど置いておきます。
あとは煮物や炒め物にしてふきを食べてください。
ふきの食べ過ぎまとめ
ふきの食べ過ぎをテーマにまとめました。
ふきに限らず山菜類はしっかりあく抜きをしましょう。
「薬と毒は紙一重」という言葉があります。
山菜類や野草などは、昔から煎じて飲むと咳がとまったり、傷口にぬると止血になったりと、いろんな使い方がありました。
でも下処理の仕方や量を間違えると身体に害を及ぼすことがあります。
しっかりあく抜きをして季節の味を楽しみましょう。
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