あしたばの効能をテーマにまとめました。
「あしたば」というと苦い青汁の原料というイメージをもたれる方が多いと思います。
あの独特の苦みはいかにも体によさそうなイメージがありますよね。
昔から薬草としても栽培されてきたあしたば(明日葉)にはどんな効能があるのでしょうか。
あしたばの効能についてまとめていきたいと思います。
あしたばの成分
あしたばにはこのような成分が含まれています。
生と茹でたものではこのような差があります。
あしたば(生) 100gあたり | 明日葉(ゆで) 100gあたり | ||
エネルギー | kcal | 33 | 31 |
水分 | g | 88.6 | 89.5 |
たんぱく質 | g | 3.3 | 2.9 |
炭水化物 | g | 6.7 | 6.6 |
糖質 | g | 1.1 | 1.3 |
脂質 | g | 0.1 | 0.1 |
カリウム | mg | 540 | 390 |
カルシウム | mg | 65 | 58 |
ビタミンA | ㎍ | 440 | 440 |
ビタミンK | ㎍ | 500 | 380 |
ビタミンC | mg | 41 | 23 |
ビタミンB2 | mg | 0.24 | 0.16 |
βカロテン | ㎍ | 5300 | 5200 |
※日本食品標準成分表より
あしたばにはミネラル類・ビタミン類がバランスよく含まれていることがわかります。
注目すべき栄養素が、どんな効果・効能をもたらしてくれるのか詳しくみていきましょう。
あしたばの効能・ビタミン類
あしたばに含まれるビタミンにはこのような効能が期待できます。
ビタミンK
ビタミンKには、血液を固めて止血する効果・骨の健康を保つ効果があります。
これは、ビタミンKが出血した時に止血する因子を活性化するためです。
出血している部分を止める働きと同時に、それ以外の部分の血液が固まりすぎないようにする物質の生成にも関わっているので、出血してもその箇所以外の部分は正常に血液が流れる事ができます。
また骨のたんぱく質を活性化させる働きもあるため「骨粗しょう症」の治療薬としても使われています。
成人女性の1日の摂取基準量は150㎍なのですが、あしたばには380㎍のビタミンKが含まれています。
摂り過ぎでは?と思われがちですが、通常の食生活での過剰症の報告はされていません。
ただ、血液の抗擬固剤(固まらないようにする薬・ワーファリン)を飲んでいる方は、薬の効き目が悪くなってしまうので、ビタミンKを多く含む食品(納豆・モロヘイヤ・海藻類など)を食べる時は医師に相談してからにしましょう。
ビタミンB2
皮膚や粘膜の健康維持や疲れをとる効果、美容効果・ダイエット効果などがあります。
ビタミンB2は糖質・脂質・たんぱく質を体内でエネルギーなどにする代謝を支える重要な働きをしていて、とくに脂質を効率よくエネルギーにかえる働きを補助しています。
脂質の代謝がスムーズなことで肌や髪の健康をたもつ事ができたり、ダイエット効果も期待できるといわけです。
ただ粘膜の健康維持を助ける働きをしているので、不足すると口角炎などの口の周りの粘膜のトラブルや、ニキビや小鼻の脇の吹き出物、他にも眼精疲労や目の充血といった目のトラブルを引き起こしかねません。
βカロテン
美肌効果、抗酸化作用の効果、粘膜を丈夫にする効果があります。
βカロテン(カロチノイドの一種)は緑黄色野菜などに含まれる色素成分で、体内で必要に応じてビタミンAに変換されビタミンAとしての効果も発揮します。
もともと強力な抗酸化作用(体内で発生した活性酸素を除去する働き)があるので活性酸素が原因のひとつとされている動脈硬化や老化の促進などの予防に効果が期待できます。
また皮膚の新陳代謝をたかめる作用も行っているため美肌・皮膚の健康維持に効果があり、粘膜を丈夫にする働きもあるため、口や鼻などからウィルスが侵入してくるのを防ぐ効果も期待できます。
あしたばの効能・カリウム
高血圧予防、むくみ予防、筋肉を正常に保つ効果があります。
カリウムはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、血圧を調整して体がいつも一定のよい状態を維持する働きをしています。
偏った食事でナトリウムを摂取しすぎると、カリウムがナトリウムの排出をうながし血圧を下げる働きをします。
このバランスが大切で、なぜならナトリウムが排出される時に同じ量のカリウムも汗や尿として排出されるしまうからです。
カリウムはほとんどの食品に含まれていますが、それ以上に加工食品などで塩分をとりすぎる傾向があるので注意が必要です。
あしたばの効能・カルコン
抗菌・抗炎症作用、血栓ができる抑える作用、胃酸の分泌を抑える効果があります。
カルコンはポリフェノールの一種で、あしたばには10種類以上のカルコン類が含まれています。
明日葉を切った時に切り口から出てくる黄色い汁が「カルコン」です。
あしたば特有のカルコン類も含まれていて、血管を拡張して血行をよくする働きがあるため、動脈硬化や心筋梗塞などの病気の予防に効果が期待できます。
またあしたばのカルコン類には抗菌作用がるため皮膚病などに効果があることが認められています。
ただ脂肪の代謝やダイエット関連にかんしては、データがとぼしく科学的に証明されてません。
カルコンの効果・効能をただしく理解することが大切です。
あしたばの効能・クマリン
ポリフェノール/フェノール酸系に分類される香り成分で、あしたば独特の香りはこのクマリンによるものです。
例えば、桜の葉の塩漬けを使った桜餅の香りはこのクマリンなどによるもので、シナモン、やパセリ、マメ科の植物などにも多く含まれています。
クマリンには血流を改善する効果・むくみの改善をする効果が期待できます。
これはクマリンに血液を固まりにくくする作用があるためで、その結果、脳梗塞や心筋塞の原因のひとつの血栓を防いでくれます。
また血流の流れがよくなることで、余分な水分や老廃物を体外にだしやすくなるので、むくみを改善する効果があります。
さらに体内の細菌の増殖を防ぐので抗菌効果・抗酸化作用の効果も期待できます。
LPS(リポポリサッカリド・リポ多糖・エンドトキシン)
LPSは免疫ビタミンとも呼ばれ体の自然免疫力(体を守る機能)を高める成分です。
人間の体内には免疫細胞「マクロファージ」があり、病気の基となるウィルスや不要になった細胞や老廃物を取り除く働きをします。
このマクロファージを活性化するのがLPSです。
マクロファージが活性化すると、例えば腫瘍の増殖を抑制したりと、病気になりにくく健康な状態を維持できると言われています。
しかしLPSは細菌(グラム陰性菌)の細胞膜の外膜の成分で内毒素です。
LPSは普段は細胞膜から離れることはないのですが、細菌が破壊されると菌から離れ、敗血症や発熱、血圧降下、血小板の減少など、生命に関わる疾患を引き起こします。
LPSは人間にとても有効に働く一方で、危険な毒素にも変身するという二つを持ち合わせています。
いろんな食品や植物、環境にLPSは存在し、非常に多彩な活性をすることはわかっているのですが、それぞれの性質やその含まれている量、その組み合わせは膨大で、そのメカニズムも研究段階で科学的な実証がされていません。
「微量のLPSを含む食品の場合毒素は働かない」といった報告などもありますが、どのくらいの量をどの種類のLPSから摂取すればよいかなどは、わからないのが現状です。
また人間の胃は強い酸性の消化液で満たされているため、消化してくれているとい報告もありますが、こちらも科学的に実証されていません。
あしたばの効能まとめ
今回はあしたばの効能についてまとめてみました。
あしたばにはカルコン・クマリンなどのポリフェノールの一種やLPSが含まれていることがわかりました。
ただ、まだまだ研究段階で科学的に証明されていない部分がたくさんあるのが現状です。
なので脂肪代謝やダイエット関連にかんして、あしたば効果を過剰に期待するのは注意が必要で、自分自身でよく理解することが大切です。
それ以外にもすばらしい効果・効能がたくさん明日葉には含まれているので、上手に取り入れて健康維持に役立てましょう。