日は銀杏の色の違いがテーマです。
銀杏といって思い出すのは茶碗蒸しですよね。蓋をあけると三つ葉などと一緒に黄色い銀杏が入っています。
でもよく銀杏は翡翠色とかきれいな緑色とも言われてますよね。
どうして銀杏の色には緑色と黄色のものがあるのでしょうか。
銀杏の色の違いについてまとめていきたいと思います。
銀杏の中身は何色?
銀杏は、生の状態で堅い殻をわってみると、品種などにもよりますが乳黄色のような色をしてます。
しかしこれを加熱すると緑色にかわるのは不思議ですよね。
もともと乳黄色なので、加熱したら黄色になるのはわかるのですが、なぜ緑色になるのでしょうか。
これを知るヒントはイチョウの葉の色の変化にあります。
銀杏の色が変わるのは葉の色の変化が鍵
イチョウに限らず植物の葉は普通、緑色をしていますが、この正体は緑色の光合成色素成分「クロロフィル」です。
植物の葉は光合成をするために光が必要なのですが、太陽の光の色は透明にみえて実は、紫や青、緑や黄色などいろいろな波長の色があります。
緑以外の波長の色は葉に吸収され、吸収されなかった緑の波長の光が葉に反射して、目にみえる光として私達には緑色にみえるんですね。
イチョウの葉の中にもクロロフィル(葉緑素)がたくさん含まれているのですが、緑色だけではなく黄色の光合成色素成分「カロチノイド」も含まれています。
クロロフィルがたくさん含まれているのでカロチノイドは通常、隠れてみえません。
ところが、昼間の時間が短くなったり気温が下がってくるとクロロフィルは分解され、量が減ってきます。
すると、黄色の色素成分のカロチノイドは分解されず残るので、あの黄色のイチョウの葉のなるというわけです。
銀杏の色が違う理由
イチョウの葉に黄色の色素成分が含まれているのと同じく、銀杏にも緑色の色素成分(クロロフィル)と橙色の光合成色素成分(カロテノイドの一種)の両方が含まれているんです。
なので銀杏もイチョウの葉と同じように緑の物と黄色の物があるんです。
しかし、銀杏の色が違うのは、この成分による違いだけではありません。
銀杏の色が加熱によって変化する理由
銀杏は上記の理由で、緑色と黄色の物があることはわかりました。
生の状態での表面の色は乳黄色ですが加熱した時に色の違いがでる差はなんでしょうか。
それは、銀杏の内部のクロロフィルの量によって色の違いがあらわれます。
※銀杏の果実特性www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/files/narose/fruit10_03.pdf
品種や育った環境にもよりますが、表面の色が黄色でも、内部にクロロフィルがたくさんあれば加熱した時に緑色になり、少なければ黄色になります。
では具体的に銀杏の中ではどんな変化がおこっているのでしょうか。
銀杏の成熟初期(薄い緑色の銀杏)
銀杏は早いのものだと8月下旬頃から収穫がはじまります。
銀杏の果肉の部分が黄緑色になってくると、中の銀杏(私たちがらべる胚乳の部分)も乳緑色になりクロロフィィルの量も増えてくるのですが、まだ未熟で柔らかく、殻の部分の稜線(つなぎ目)の部分も弱いのも特徴です。
この時期の銀杏は品質の保持が難しいために、なかなか市場に出回ることがなく量も少ないんです。
銀杏の成熟期(緑色の銀杏)
銀杏の果肉の色がやや黄色になってくる9月初旬~10月中旬頃(場所にもよります)になると銀杏は成熟して殻も堅くなり、旬の時期をむかえます。
見た目は乳黄色なのですが、中のクロロフィルの量はもっとも多く、この時期の銀杏は加熱すると、たくさんのクロロフィルのおかげできれいな緑色になり、味も熟しておいしいです。
また収穫の最盛期でもあり、お店などでもみかけるようになります。
銀杏の成熟終期(黄色の銀杏)
銀杏の果肉の色が黄色になり縮んだりしてくる11月上旬~12月になると、中の銀杏もクロロフィルが分解され、見た目と同じく中の部分も黄色の色素成分のみが残ります。
銀杏も萎縮したりかたくなり、もちもち感もだんだん失われてしまいます。
この時期の銀杏にはクロロフィルがほとんど残っていないので、加熱しても緑色にはならないんですね。
ただある程度残っていれば、薄緑色に変化することもあります。
なぜ銀杏は加熱すると黄色が緑色になる?
加熱すると色が鮮やかになるのは、よくほうれん草などの緑色の野菜でよく聞きますね。
これは野菜の中の細胞や組織の間にはとてもこまかい空気が入っているので、クロロフィルの色が濁って見えているのですが、加熱すると空気が抜け出します。
その後冷えると、空気の隙間がなくなり組織や細胞が密着するため色が鮮やかにみえるようになったり、色が濃くみえたりします。
銀杏も加熱することで色素成分が大きく変化して、内部のクロロフィルの緑色がきれいにみえるようになります。
なのでクロロフィルが少ない状態だと黄色味がかった色になるんですね。
銀杏が黄色になる原因は他にある
銀杏の色の違いの原因は他にもあるのでしょうか。
鮮度がおちた時
銀杏は生鮮野菜なので収穫後、時間がたつにつれてクロロフィルが分解されて色が黄色にかわっていきます。
また常温で長期保存すると縮んでしまい堅くなってしまいます。
お店で売られている物も銀杏拾いで手にいれた物も、見た目は同じにみえますが、銀杏一つ一つがそれぞれ成熟度もちがう傾向があるので、加熱してみたら緑色と黄色のミックスだったという事もおこるんですね。
加熱しすぎた時
銀杏を加熱しすぎると、銀杏の中の細胞の内容物(微酸性)との作用でクロロフィルのマグネシウムがはがれ黄褐色のフェオフィチンという物質に変化します。
なので、クロロフィルがたくさん含まれている緑色の銀杏も加熱の時間が長くなると黄色や黄褐色になってしまいます。
例えば、銀杏ご飯など、一緒に炊いた時や、茶碗蒸しの時(後からのせる場合は除く)又銀杏の缶詰などは、長期保存のため、加熱処理されているので黄色の銀杏なんですね。
銀杏の色が違う理由まとめ
今回は銀杏の色の違いについてまとめてみました。
銀杏は見た目が黄色でも内部が緑色であれば、加熱後、緑色に変化するということがわかりました。
ただクロロフィルは熱に弱い特徴があります。
緑色の銀杏にしあげたい場合は、加熱しすぎない事がポイントです。
ゆで時間の目安は沸騰したお湯で約2分ですが大きさや状態にもよるので、様子をみながら加減しましょう。
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